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とりあえず、本を読めば国語はできるようになりますか?いいえ。国語のおすすめの学習法を紹介します。

2020年9月30日国語,学習方法(塾、オンライン、通信講座)

塾で生徒や保護者からされる悩み相談の常にトップにあがるのは、国語の勉強方法がわからないという内容です。自分なりにはがんばっているけれど、いつも結果が出ない生徒。たいして勉強はしないのだけれど、何となく点数はとれてしまっているだけのため、確固たる自信がない生徒など、勉強の明確な方針がいまいち決まっていない印象をもちます。

そこで、今回は、国語の学習法について考察していきます。これを読んでいただければ、一筋の光明が見いだせるかもしれません。

それでは、そもそも、国語という教科は何をマスターすることを目的としているのか?というところから考えてみます。そこから逆算していくと、国語という科目の問題は非常に単純に作られていることを確認していきましょう。

目次

国語という科目は何を目的としているのか?

あなたは正確に日本語を理解することができますか?

国語という科目が目指す究極の目的はこれに尽きます。社会に出ると多くの文書を読み、多くの決定を迫られますが、文書の記載内容が正確に理解できなければ、何について決定すればいいのかがわからなくなってしまいます。市役所の窓口で係員と揉めている人の姿を見かけることがありますが、これは国語をがんばってこなかったことに起因するといっても過言ではありません。

「うちの子は本が好きなので、国語は大丈夫だと思います。」このフレーズもよく聞きますが、読書量と国語力は正直関係ありません。読めない漢字や知らない言葉を飛ばしていたり、自分で勝手に言葉の意味を作ってしまっていれば、どれだけ読んでも日本語を正確に理解する力は養われないからです。

ただ、小さいころから日本語を正確に読む習慣がついているならば、読書によって語彙は増えますし、様々な知識や経験を疑似的に得ることができますので、大切なことではあります。

しかし、本を読めば国語の点数がUPするわけではありませんので、読みたくもない本を無理やり子どもに読ませて、かえって本を読むことの喜びを奪うようなことは慎むべきかもしれません。

現代は、本や文書が身近にありすぎて、その価値がわからなくなっている時代です。昔の人が大学へ行ったのは本や書物が大学にしかなかったからです。世界に数冊しかない本は大学という場が独占していたのです。

したがって、その情報にアクセスするために大学に入るのです。大学生だが、一度も図書館に足を踏み入れることなく卒業した諸氏は大変もったいないことをしたということになります。大学入試は受験生がその情報を共有するに値する能力を有するかを選別していたのです。

そういう面では、電子書籍やネットでの文章など、ありとあらゆる文章に触れられる現代においては、大学の存在意義も変わったということなのでしょう。

行間を読め!!というのは嘘!!

「国語では文と文の間、すわわち行間にある意図を読みとりなさい!!」といった指導を受けたことがある人がいるかもしれません。しかし、国語において想像力を無限に働かせていくと、正解からは遠ざかります。国語の問題では、たいてい「次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。」と書いてありますが、行間はどんなに目を凝らしても白紙です。すなわち、問題文の指示からすると何も書いてない行間など読んではならないということになります。

また、「この時の筆者はどんな気持ちだったか。」などの問題に対して、筆者の気持ち、主人公の気持ちを必死に探る生徒もいますが、こちらも想像力をたくましくすればするほど、正解からは遠ざかります。国語の問題では、その時の筆者の気持ちを表しているものはどれか。といったものがよく出題されますが、筆者の気持ちは筆者にしかわかりません。問題作成者が筆者にその時の気持ちを聞きにいったとは思えないので、真相は闇の中と言うしかないのです。

では、なぜこのような問題が出題されるのでしょうか?

これも日本語の理解能力を見るためです。筆者の本当の気持ちはさておき、その文章の字面から客観的に読み取れる筆者の心情は何か?ということを問うているのです。

ある笑い話があります。とある作家の随筆が大学入試センター試験に出題されました。その中で筆者の心情を問う問題が5択で出題されていたのですが、その作家曰く、自分の心情に合致する選択肢は5択の中に存在せず、センター試験の設問の中に自分の気持ちは入っていなかった嘆かれていました。

しかし、国語の本質はその笑い話にこそあるのです。筆者がどんな思いで書こうとも、それが相手に客観的に読み取れないのであれば、そんな思いは存在しないことと同じである。その思いを汲み取って欲しいのであれば、汲み取れるように書かなければならない!センター試験の設問に自分の心情が掲載されなかったのは、センター試験の作成者が悪いのではなく、文章で心情を伝えられなかった筆者の表現が悪いということになるのです。

本題に戻しましょう。国語というのは、日本語の理解能力を問う科目なのですから、その能力を鍛える以外に方法はないのです。それでは、その能力をどう鍛えればよいのでしょう。

学習のポイントのヒントは学校の授業にあり!!

何か魔法の様な手段を期待した人、がっかりしないでください。でも学校の先生の授業をきちんと聞いていればよいのですから、逆に簡単ではないですか?学校の授業を思い出してみてください。まず、数回音読をする。その中で、読めない漢字や意味のわからない言葉を洗い出し、スラスラと読める状況を作り出します。

それが終わると、文章を分割し、ポイントとなる部分の解説が始まります。ここで、学校の先生は指導書等も参考にされながら、ここにはこのような表現があるから、このように読むべきだという日本語の読み方を説明してくださっています。したがって、その部分はしっかりとメモをとるなどし、テスト前にも確認できる体制を整えなければ、テスト前にやるべき勉強を見失います。

もうすでに見失っているという人。諦めるのは早いです。ネットや本屋さんで教科書準拠の問題集や教科書準拠の教科書ガイドを購入してください。すると、その中に学校の先生が触れられたポイントの記載があるはずです。

それらをさらに掘り下げて繰り返し行っていくのが、学習塾で行っている国語の指導ですので、学校の授業、家での学習を経てもまだ難しいという人が、学習塾での手ほどきを受けることになります。

なぜその答えになったのか、根拠こそが大切!!

ひとつの文章の中でポイントになる部分、とりあげなければならない部分はかなりの確率で重複します。なので万が一学校の先生の話しを聞き漏らした場合は、教科書ガイドなどの記述を参考にしてみてください。

そして、次にやるべきことは、なぜそのような読み方になるのかの根拠を確認することです。国語の問題は、記号を選択するする問題が多く出題されます。なぜなら、ある部分の理解を記述式の解答で求めると、文章の中に類似の記載がたくさんあるため、正答率が下がる懸念を回避する必要があるからです。

しかし、特に小学生は記号問題を見ると異常に喜びます。とりあえず「ア」と書いておけば次に進めるのですから。万が一「ア」が違うと指摘を受ければ、10秒程度考えたふりをした上で、華麗に「イ」と書きかえます。それでだめなら「ウ」「エ」、4択なら最大4回この作業を繰り返すだけです。楽勝です。

しかし、国語が苦手になっていく背景は、読解力の段階を踏むために、あえて簡単な文章が選択されている低学年時代に、こんなの簡単だよと言わんばかりに、勘や当てずっぽう、雰囲気で答えを書き、何となくお茶を濁しつづけていくという姿勢にあります。

したがって、家で一緒に勉強する時、これは中学になっても同じですが、親だけが解答と解説を確認する。その問題の○付けをする前、すなわち子どもがその問題の正誤を知る前に、なぜこの答えになったの?と一言問いかけるだけで十分です。

塾でこの問いかけをすると、多くの生徒が、答えがあっていても消しゴムで答えを消しはじめ、答えを変えようとします。すなわち、何の根拠もなく、解答をしているのです。

それをしなかった、もしくは、お父さん、お母さんが怖くて(笑)、あるいは自発的に根拠を追い求める勉強を続けてきた生徒は、国語は勉強しなくても何となくとれるといった羨ましい発言をすることになります。

しかし、国語力のからくりはそれに尽きます。したがって、子どもが小学校の低学年でまだ一緒に勉強をできる場合は、記号問題を含め、特に正解している問題でなぜそういう解答になったのかをしっかりと自分の言葉で説明させることを意識してみてください。でもその際は、「この問題すごく難しそうに見えだけど、すごいね。どうしてそうなったのか教えてくれる?」といったように、子どもの自尊心を最大限にくすぐることが肝要です。

一方、小学校高学年や中学生など思春期に入ってきたら、教科書ガイドを買い与える、教科書準拠の問題集で自分の答えと解説の整合性を図らせるといったアドバイスをしてみると良いかと思います。なかなか親の言うことは聞かないということでしたら、それを第三者、たとえば塾や、家庭教師に任せるのも一案かと思います。(ただ、教科書ガイドは教科書に載っている問題の解答が掲載されていますので、根拠を確認するはずが、かえって安易に答えだけを知り得るツールとも化しますので、注意が必要です。)

訓練で読解力は向上する。

以上のような根拠を求める学習を続けることで、実力テストや入試問題といった初見の文章でも解答する能力がついてきます。学校の定期テストは授業で扱ったのと同じ文章が出題されますので、正直意味がわかっていなくても、暗記をすれば何とかなる側面があります。

したがって、定期テストに比べて実力テストの点数が伸びない生徒は、意味を捉えない暗記型の学習になっている可能性がありますので、要注意です。

最後は、ことばのきまりと漢字を学習すれば終わりです。これに関しても、すべて意味と根拠が重要です。漢字を覚えるのが苦手という生徒や、漢字で線が1本足りない、点を付け忘れるといったミスをしやすい生徒は、漢字の意味を考えず、そのまま記憶に焼きつけようとしている傾向があります。それを修正し、意味を押さえていくことで正答率は格段に上がっていきます。がこれは下の記事で書きましたので、参考にしてください。

国語の学習のまとめ

  1. 国語は、日本語が理解できるかを問うための教科
  2. したがって、文章の内容を客観的にとらえることが重要
  3. そして、その読み方が正しいかどうかの根拠を学校の授業や教科書ガイドで確認する。
  4. ことばのきまり、漢字も極力丸暗記ではなく、根拠を考える勉強をしていくこと。