子どもをゲーム依存にさせない5つの約束
保護者の方と懇談会でお話をしていると、子どもとゲームのつき合い方について頭を悩ませている方が多い印象でした。
最近の研究では「ゲームは子どもの知能にプラスに作用する。」とゲームの存在が見直される動きもありますし、学校で配布されているデジタル端末の中には、タイピングゲームが最初からインストールされているものもあり、ゲームを日常生活から完全に切り離すことは難しいように感じます。
一方、オンラインゲームやパソコン、スマートフォンを使ったゲームにはまり、健康や社会生活に悪影響が出る「ゲーム依存症」が社会問題になっています。
かつてイギリスで20代の男性が「12時間以上同じ姿勢でゲームをし続けた」ところ、肺塞栓で亡くなった事件がありましたが、ゲームに命を奪われてはたまったものではありません。
今回は、子どもをゲーム依存にさせない5つの約束をご紹介します。ゲームとのつき合い方にお悩みの方にはぜひお読みいただければと思います。
「ゲームにはまるのはなぜ??」
「今日は9時からゲームしような!!」生徒たちからこんな声が聞こえてくることがあります。
夜の9時にゲーム?と思って詳しく聞いてみると、オンラインゲームにいそしむようです。
昔は、ゲームを持っている友人の家に大勢が集まり、夕方までゲームをした後で、後ろ髪を引かれる思いで家路につく姿を見かけましたが、今や別々の空間にいて、同じゲームを楽しめる時代になりました。
技術の進歩はすごいなと感心する一方で、日常生活の中にゲームが入り込んでしまい、意図的にけじめをつけなければ、ゲームの魔の手から逃げ切るのは難しそうです。
学校から帰るとすぐにゲームのスイッチを入れ、夕食まで没頭する。
ゲームを買う時に決めた、学校の宿題を先にする。ゲームは一日30分までといった約束も今は昔、こどもはすっかりゲームの虜のです。
子どもを虜にして止まないゲームですが、人はなぜゲームにのめり込むのでしょう?
ゲームの何がそんなに楽しいの?と子どもに聞くと「何となく」と明確には答えられませんが、何かが子どもを惹きつけるようです。
それでは、ゲームの何が人を惹きつけるのでしょうか。
それは、ゲームを進めるにつれて次から次へと与えられる達成感です。
敵を倒せた、ミッションをクリアした、アイテムがゲットできたなど、ゲーム上の様々な変化は人間の脳に達成感を与えてくれます。
これによって、脳内にドーパミンという快楽物質が放出され、ますますゲームをやめられなくなります。
また、最近のゲームはゲーム内のコミュニティで友達を作ることができたり、協力してプレーできたりするため、ゲーム内で自分の役割ができ、その役割を果たすことで、承認欲求も満たすことができてしまいます。
これが、ゲームにはまっていくメカニズムです。
「恐ろしいゲーム障害とは?」
はじめは楽しかったゲームも脳が快楽を感じたいという刺激を欲するようになると、ゲーム障害という状態になってしまいます。
「ゲーム障害」とは、2019年に世界保健機関「WHO」が正式に病気として認め、「ゲームの時間がコントロールできない」「学校や仕事などの社会生活よりもゲームを優先する」症状が12か月以上続く状態だと定義されています。
以下の4点にあてはまるようなら、ゲーム依存症になりかけかもしれませんので、チェックしてみてください。
- 夜遅くまでゲームに没頭し、朝起きるのが辛い。
- 日常生活でゲームを最優先にする。
- もうすでに宿題はやった、宿題はないなどと、ゲームをするために嘘をつく。
- ゲームをしたいのにできないとイライラしてキレやすい。
いかがでしたか?
ゲームにのめり込むあまり、夜遅くまで起きていて睡眠不足になったり、朝なかなか起きられなかったり、生活習慣や生活リズムの乱れが心配になると、親としてはゲーム機を没収、あるいは捨ててしまうという荒療治にうって出たいという衝動にかられることでしょう。
それでは、本当にゲームを捨ててしまうしか方法はないのでしょうか?
「ゲームを通して自制心を育もう」
適度にプレイすれば、気分転換になったり、場合によっては子どもの知能を高める効果も期待できるゲームですので、うまくつきあっていく方法を考えておく必要があります。保護者が一方的にルールを決めたり、強制的にゲームをとりあげてしまうといった方法を取ると、ゲーム依存状態にある子どもは、何とかしてゲームをしたいと隠し事をするようになってしまうため、かえって逆効果と言われています。
親子で相談しながら一緒にルールを決め、それを徹底することでゲームへの依存を抑えるとともに、自制心を育むことも期待できます。
それでは、どのような約束をしていけばよいのでしょうか。
ゲームは週末だけ
大人は仕事、子どもは勉強、これが平日の営みです。それに対してゲームは娯楽であり非日常です。生活にメリハリをつけ、バランスを保つことが大切です。週末にショッピングやテーマパークに遊びに行くのと同様に、ゲームも週末だけとし、特別感を持たせ、毎日しないことで依存を防いでいきましょう。
週末は保護者も家庭にいることが多いでしょうから、子どもがゲームをする様子を見守るとともに、家族団らんの道具に使うことも依存を防ぐには有効です。
ゲームのプレイ時間は90分まで
「ゲームは一日30分まで」。これはよくありがちな約束です。しかし、30分もやると面白くなって来たころにやめることになるため、「約束だよね?」とゲームをやめさせようとしても、子どもはなかなか自制できません。また、仮に30分で止めたとしても、毎日続けると習慣化されていきます。塵も積もれば山となるで、これが依存を招きます。
そこで、ゲームは週末だけに限るけれど、時間は「90分」とたっぷりとります。そして、90分のタイマーをセットし、その時間だけは思う存分ゲームに興じてもよいこととします。
ゲームはリビングで
最近は子供部屋にもテレビがあるため、自分の部屋でゲームをしたり、携帯ゲーム機を自分の部屋に持ち込んでプレーしたりする光景もありますが、常に子どもの目に触れるところにゲームがあると、どうしても誘惑にかられる危険性が高く、依存への第一歩になる傾向があります。ゲームは家族の目の届くリビングで行い、終わったら決まった場所に片づけることで、「今週のゲームは終わった」という気持ちの区切りがつき、依存から遠ざけてくれます。
夜はゲームをしない
週末90分のゲームタイムもなるべく日中の時間帯に設定することにしましょう。テレビ、スマホ、ゲーム機から発せられる強い光を浴びると、人を眠りに誘うメラトニンというホルモンの分泌量が抑制され、脳が覚醒し、眠りが浅くなります。その結果、寝つきが遅くなり、起床も遅くなり、一日の生活リズムが崩れ始めます。
良質な睡眠が十分にとれるように、夜はゲームをしないようにしましょう。
外出にはゲームを持って行かない
家族で外出すると、移動の車の中や、買い物をしている間の待ち時間などに、ゲームをしている光景を見かけます。親の立場からすると、ゲームをしていればグズることもなく、一石二鳥と言えなくもありません。
しかし、子どもは知っています。外出先でグズればゲームをさせてもらえることを。親子ともどもwinwinの関係になるからと、外出時にゲームを持って行くと、結果としてゲーム依存を招いてしまいます。
せっかくの外出です。まわりの景色や自然、出来事などを実際に経験することは人格形成にとって、なくてはならない要素です。外出時は家族での会話を楽しみ、ゲームのお世話にならないことも約束のひとつに加えておきましょう。
これを機会にゲームとのつき合い方を話し合ってみよう!!
子どもをゲームに依存させない5つの約束、いかがでしたか?今のゲームは大人もはまりそうになるほどよく考えて作られており、ついつい夢中になってしまう要素に溢れています。
しかし、ゲーム依存になってしまうとなかなか治ることはなく、苦しんでいる人が多いことも事実です。各家庭でうまくゲームと付き合うために、どのようなルールを決めるのが望ましいのか、この機会に一度相談されてみるのはいかがでしょうか。
そして、ルールを決めたら徹底することが大切です。決めたことは守る!!を徹底し自制心を養う訓練もしていきましょう。
ディスカッション
コメント一覧
Good to know!
interesting for a very long time