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植物の葉はなぜ互い違いについているのか??という問いを通して、リトリーバル学習の正しい方法を考える。定着させた知識を活用することが大切。さらに植物はなぜ緑なのか?

2021年9月20日リトリーバル学習,学習方法(塾、オンライン、通信講座),理科

漢検の漢字も、英単語もリトリーバル学習が効果的ですよ。とお伝えしています。私の教える生徒もリトリーバル学習の名のもとに、アウトプットを反復する練習に取り組んでくれています。が、繰り返し復習の意味を取り違えてしまっては、効果が半減ですので、リトリーバル学習をする上で大切なポイントをお伝えします。

目次

下の写真を見て、次の問題を考えてみてください。

中学1年生の問題です。

上の写真はある植物を上からみたところです。
① 葉っぱはどのようについていますか。  (                   )
② なぜそのようについているのでしょうか。(                   )

上の問題は、中学1年生の理科の問題です。理科、社会は暗記でしょ?と思われがちですが、こんな情報は暗記事項にありません。簡単すぎるでしょうか?少し考えてみてください。この問題について学校のテストではわりと良い点数を取っているある中1の生徒が、「わかりません。」と質問に来てくれました。

講師

見たまま答えると葉っぱはどのようについてる?

生徒

見たまんまですか?
バラバラです。

講師

バラバラに見えるかな?
一定の規則にしたがってついているように見えるけど。
どういうふうに見える?

生徒

葉っぱ同士が重ならないようについているように見えます。

講師

そうだよね。こんなたくさんの葉っぱが一枚たりとも重なりあわないようについているよね。
それが答えでいいんじゃない?
たぶん模範解答には互い違いについているって書いてあるけど、もしその言葉が思いつかなければ葉っぱ同士が重なり合わないようについているで十分正解だと思うよ。
でも、なぜだと思う?この問題は②が大切だね。

生徒

なんでだろう。風が通り易いからかなあ。
虫がとまりやすいように・・・?

植物の葉は、なぜ互い違いについているのでしょうか?

2020年以降の、新しい学習指導要領にかわった時から、思考問題、記述問題が増えました。例えば、算数にも記述問題が入ってきています。この背景には知識偏重教育からの脱却が見て取れます。基本的な事項から考えて欲しいと。

みなさんはどうでしょうか。ヒントとして、この問題は中1の光合成の単元で出題されています。光合成って何だっけ?光合成に欠くことができないものは何だっけ?

光で合成するって言っているから、光は不可欠だよね。と思えれば、葉っぱに効率的に光をあてるためという推測を働かせるのは簡単かもしれません。

しかし、いままでの記憶偏重の学習をしてきた場合、このような発想がなかなか出てきません。こんな問題見たことない、やったことない、覚えたことない。思考停止におちいります。講師が正解を答えてしまうと、この問題の答えをそのまま暗記しようとノートに書きこんでいました。

私がおすすめするリトリーバル学習では、間違えた問題を何度もくりかえし復習することで記憶を定着させようとします。しかし、例えば、今のような問題で、葉っぱに効率的に光をあてるということの意味がわからないのに、その答えだけを暗記し、何度この問題を繰り返したところで、少しでもひねられてしまうと、答えられなくなってしまいます。

はこべら
はこべら

次の写真は春の七草のはこべらです。小さな花ですが、こちらも葉っぱが互い違いについています。試しに外へ出て、何でも良いです。植物を観察してください。葉っぱは互い違いについていますか?

なんの気なしに植物を眺めると、無意味についているように見える葉っぱも上から見ると、見事に重なりあわないようについていることがわかります。感動です。道端で踏みつけられる雑草にも同じ工夫が働いています。そうまでして、太陽の光を浴びたいのです。天気が悪く、弱い日差ししかなくても、何とか効率的に光合成を行いたい。そんな工夫がすべての植物にあるのです。

ここで、初めて暗記です。人間やライオンのように、動き回って食べ物を摂取することができない植物は生えた地点でより効率よく栄養を作り出せるように伸びていくのです。だから、葉っぱは互い違いについているんだと。「理解して繰り返す。」これが鉄則です。

光合成、葉緑体、気孔、孔辺細胞、酸素を排出。

光合成の単元で出てくる用語には大切なものがたくさんあります。しかし、これらをどれだけ覚えていても、この知識から葉っぱが互い違いについていることの理由が推測できなければ、活きた知識ではなくなってしまいます。

せっかく覚える知識です。活かしましょう。漢字も一緒です。ただ、読みや漢字の形を覚えるのが目的ではありません。意味を押さえ、成り立ちを押さえることで、別の言葉を推測できるパーツを集めることが目的です。

その点に留意しながら、リトリーバル学習に励んでください。

P.S.植物の葉が緑色なのはなぜ?

最後に勉強の楽しさをひとつお伝えしておきます。葉っぱを互い違いにしてまで光合成を行いたい!!ということはわかりましたが、素朴な疑問。なぜ植物は緑色なのでしょう?先ほどの生徒に問いかけました。自信満々に答えてくれました。

生徒

葉緑体があるから!!

講師

正解!!葉っぱの緑の体って書くもんね。
葉緑体があるから、緑なんだね。
ところで、葉緑体はなんで緑なんだと思う?
緑色だったから、葉緑体って名前にしたんだろうけど、
なんで赤じゃダメなの?なんで青じゃダメなの?
赤シソは赤いけど、葉緑体は持ってるの?光合成はできるの?

生徒

神様がそう決めたから。

勉強はここから、自分なりに考え、調べ、仮説を立て、真理に迫っていくところに面白みがあるのだと思います。光合成は葉緑体で行われるという知識から、なぜ緑なんだろう?勉強はつまらん。何の役にたつの?という声が聞こえてきたら、こういった問題を一緒に考えてみると良いかもしれませんね。

ちなみに、2016年のNASAの調査があるまで、なぜ植物が緑なのかっていうのはわかってなかったそうです。たった数年前までは、生徒が言うように神様が決めた!!が正解だったのかもしれませんね。